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知らないだけの馬

近くの馬好きのお爺さんに新馬の鞍付けを頼まれました。4才の和種混じりの雑種です。毎回新馬の鞍付けには緊張させられます。普段乗っている馬たちは簡単に馬装され、人間に従って動きます。ところがそれまでただ飼われていただけの馬にとっては鞍を付けられたり、人に乗られたりが大変な恐怖となります。馬は恐怖を感じるとその場から直ちに逃げ出さなければなりません。逃げることが命を守る事だと考えています。逃げたいのに逃げられないと更に怖くなりパニックになってしまい手が付けられなくなることもあります。では、どうして鞍を付けられたり、人に乗られたりすることが怖いのかといえば、それらが馬にとっては未知のものであるからです。馬が怖いと思うものは以前実際に怖い思いをしたものと、今までに遭遇しなかったものや出来事に別れます。以前に体験した怖さはどの程度の怖さかわかりますが、未知の怖さは限りなしです。では馬にとって鞍を載せて腹帯を締められ人が跨がることが苦痛かといえば、そんなことはないはずです。調教されている馬たちは苦痛に耐えることなく人を乗せています。つまり知らないことは危険なことと思い込んでいるのです。
さてこの新馬にもいつもの手順で鞍を載せる頃合いをみてそっと鞍を載せて腹帯を静かにゆっくり締めてみます。初めてお腹を締め上げられるのに意外と落ち着いた様子です。調馬索で追うと鐙が揺れて馬の腹を叩くで訳が分からずバタバタと走ります。しかし暫くすると落ち着いた速足で調子よく回りはじめます。どうってことないことがわかるのです。そしてまた頃合いをみて鐙に左足をかけ体重を載せると最初はすぐに動こうとするのですが徐々に動かなくなります。そしてようやく右足が馬の背中を超えて鐙に収まります。遂に乗ってしまいました。 ほとんどの馬は固まってしまうのですが、乗った瞬間にロデオになることも稀にあるので緊張が走ります。この馬は大丈夫でした。固まっています。次は動かすのですが、これがまた緊張の一瞬となります。最初の一歩が出たとたんにロデオ状態となることも。蹴られたら前進という合図はまだ知りません。左右に頭を曲げると曲がった馬体を戻そうと後足を動かします。何度か左右へ動かした後で動きだしたらすぐに頭を真っ直ぐにすると前へ進みます。馬の頭を行きたい方へ向けるとその方向へ向かって歩きます。右回り、左回り問題がなければ速足です。どうして人を乗せてぐるぐる回っているのか理解してはいないでしょう。ただ苦痛ではないことを理解してもらえばよいのです。今回は落ち着いてよく理解してくれました。きっと次回以降上手く関わっていけそうです。馬の調教は馬が知らなかったことを怖いものではないと思わせることだと思います。なにが怖いのか、どうすれば怖いものでなくなるのか馬を見極め、適切に導けなければ逆効果になることもあります。どの馬も皆違い同じパターンはありません。調教する我々は多くの馬と接し沢山のデータを蓄積しそれらを駆使して想像力を高めねばならないのです。安心させられるか 怖がらせるか馬の一生がかかる大切な仕事です。どの馬も安心させられるようになりたいとまだまだ勉強の毎日です。
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